秘密の記憶は恋の契約
真剣な眼差し。

彼の口から放たれた言葉に、私の身体中が甘く溶かされていく。

「わ、たし・・・」

ドキドキしすぎて、上手く言葉がつなげない。

そんな私に、綾部くんはもう一度、触れるようなキスをした。

「・・・今日は楽しかった。また明日、会社でな」

「・・・うん」

胸が、切ない音を出す。

心臓がうるさくて、恥ずかしくて、私は、彼の顔が見れなかった。

そのまま助手席のドアを開けて外に出ると、視線を落としながら、彼の車が見えなくなるまで見送った。









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