最高の恋の見つけ方
気が付いたら、手を握られて、葵くんと一緒に、卒業証書を持って走ってた。


前を向いた葵くんに手を引かれている私には、葵くんの顔が見えない。


葵くんが何を考えてるのか、分からないけど、久しぶりに会えて、嬉しい。



今はただ、単純に嬉しいって感情しか、浮かんでこない。


まだ、こんなに好きだったんだと、実感する。もちろん、口にすることは絶対ないけど。



駅について、葵くんは私の手を握ったまま、2枚、切符を買う。



「どこに行きたい?」



「葵くんの好きにしていいよ」



「じゃあ、絵里の好きな、猫見にいこ」



「いいよ、あと」



「何?」



「逃げないから、安心してよ、葵くん」



葵くんを安心させたくて、笑いかけた。
< 101 / 147 >

この作品をシェア

pagetop