最高の恋の見つけ方
「絵里」


葵くんが、私の名前を呼ぶ。


「葵くん」


私も葵くんの名前を呼ぶ。


「雨、止んだよ」


優しい葵くんの声。


夢のような時間が終わって、ぎこちなく服を着る私たち。



「葵くん」


「何?」


「私が、もし、やり直したいって言ったら、どうする?」


「やり直したいよ、もちろん。でも」


葵くんは、真面目な顔で、小さな窓から、雨上がりの海を眺める。


「学校では、ああ言ったけど、ごめん」


「ごめんって、何が?」


良く分からない。


「やっぱり無理」


葵くんは、辛そうに、でも、はっきりと言った。
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