陽だまりの天使
「ああ、つっちーはナイわー」
真帆から翌朝目覚めた時に届いていた短いメール以上に直美も冷めているようで、楽しそうに2次会に向かった3人の様子からは全く想像できない発言だった。
口をへの字に曲げた直美が珍しく低いテンションで話し出す。
「つっちーさ、あんなに良くしゃべるのに素性は全然明かさないし、坂木っちは来れなくなったとか言って現れないし、どうも馴染みの店じゃないところに私ら連れてったらしいんだよね。ってことは、だよ。つっちーは最初っからうちらと馴れ合うのを回避しようとしてた上、連絡先も仕事の番号しか教えないで、あっけなくうちらを帰したの。あんな楽しそうにしてたのに、平然とした顔で嘘つける男ってなんかイヤ」
想像以上の拒絶具合に驚きつつ、静かに怒り狂う直美の発言に現場にいなくて少しよかったと思ってしまう。
「それは、残念だった・・・で合ってるのかな、。土谷さんって策士というか、ちょっと怖いね」
慎重に直美の顔を見ながら言葉を選んでいく。
ヘソを曲げると、直すのが大変だから。
「でしょー!ま、セレブっぽかったからお近づきになりたかったけどさ、やっぱ世の中そう簡単じゃないね。ま、あんなの偶然の産物だったから、次行くよ!ってことで、飲み会。参加方向でよろしく!」
一応地雷を踏むことなく進めたみたいだけれど、直美は私の両手を握って合コン参加に話を戻す。
話を振ってくれるのはありがたいと思う。
けれど、時期とかタイミングもある。
「直美と飲みに行くならいいけど、合コンは、どうしようかな。たぶん私この間と同じ感じになっちゃうし・・・」
遠まわしに断る方向に話を持っていきたかったけれど、うまい断りが見つけられない。
坂木さんのことが脳裏に過ぎるのも一因。
視線を泳がせてみるが、その先に断り文句があるわけもない。