溺愛結婚!?〜ふたつ目の婚約指輪〜
今も向かいの席から私を優しく見つめ、穏やかな口元からは何か特別な言葉がいくつも出てきそうだ。
「濠……あまり見ないで」
私から視線を逸らさない濠にドキドキして、思わずそう言った。
あまりにも強く見つめられて、心臓はばくばくといっているし、体は熱くなる。
どれだけ長い間一緒にいても、私は濠に夢中なんだと、今日もまた実感して。
「私、幸せだな」
うつむき、小さく声にした。
すると、その声を聞いたのか、濠がテーブルに両手を置き、体を私に近づけた。
「ど、どうしたの?」
照れくささと驚きで裏返った私の声に、濠はくすりと笑い、すっと私の目の前に何かを置いた。
「え……何?」
茶色いベルベットの小箱。
何かを予感させるその大きさに、ハッと濠を見る。
「これって」
うかがうようなか細い声で問いかける私に、濠は何度か頷くと、とろけるような瞳を私に向けた。
それだけで私の心をつかむ、魔法の瞳だ。