溺愛結婚!?〜ふたつ目の婚約指輪〜
「この指輪が出来上がったのがちょうど昨日だったんだ。
だから、キャンセルが出たって聞いたときは間に合ってよかったって興奮した」
「昨日って……それにこんな立派な指輪を用意してくれたなんて。驚かさないでよ」
「俺が透子を驚かせるのには慣れてるだろ?」
「そりゃ、たしかに慣らされたけど……だけど、突然こんな」
私は思わず両手を口元に当て、驚きを隠せないまま指輪を見つめる。
お店の照明に反射して、細かい光が四方に飛び散っている。
既に入籍も済ませ、「真田透子」としての時間を送っているというのに、今になってこんなサプライズ。
濠のそんな仕掛けに慣れたとはいっても、驚かないわけがない。
「透子」
「うん」
「俺と」
「……俺と?」
濠が、小箱から指輪をゆっくりと取り出した。
そして、相変わらず口元にある私の左手を取ると、薬指に指輪をすっと通した。
少しひんやりとするプラチナの冷たさを感じ、そして、頬を流れる熱いものを感じると、これは夢ではないんだと、安心する。
じっと左手の輝きを見つめ、身動きできずにいると、私の手を持つ濠の指先に力が入った。
「透子」
「……ん。ありがとう……」
指輪から濠に視線を移すと、その瞬間、濠は口を開いた。