溺愛結婚!?〜ふたつ目の婚約指輪〜
「俺と結婚してほしい。透子を幸せにするために、俺は生きているんだ。
そしてそれが俺の喜びであり幸せだから、ずっと俺のそばにいて、俺を幸せにしてくれないか」
硬い声音に、私は何も答えることができない。
いつも聞いている、私を導く強い言葉に慣れているせいか、こうして改めて『お願い』されると、それだけで濠の想いの本気が伝わってくる。
私のことを一番に考えてのことだとはいっても、あらかじめ決めたことを私に報告して進める濠のやり方を受け入れている私には、今聞いた言葉は新鮮で、何度も頭の中で繰り返す。
「してくれないか、って何だか不思議。濠がそんな謙虚な言葉を言うなんて、信じられないよ」
照れくささを隠すように笑う私に動じることもなく、濠は真面目な顔を崩さず私の答えを待っている。
答えなんて、わかっているはずなのに。
いまさらどうして。
そう思いながらも、濠のこのサプライズがうれしくて、幸せな温かさがどんどん体中にわいてくる。
左手を天井にかざし、濠にはめてもらった指輪を見つめると、私の背後の夜景に浮かんでいる星のようにも見えて胸がいっぱいになる。