溺愛結婚!?〜ふたつ目の婚約指輪〜
「結婚式の日は、ここに泊まるんでしょ? そのときに絶対買わなきゃ。
あ、あらかじめ予約ってできるの?
もしできるんだったら母さんと弥恵さんにもプレゼントしたいな」
「よっぽど気に入ったんだな。たしかに女性に評判のものだけど、男の俺には単純に『きれいだな』としか思えないんだけど」
「うん、母さんもきっと濠と同じことを言うと思うよ。
だけど、有二パパなら気に入ってくれそうでしょ?」
家事はもとよりインテリアにはそれほどの興味を持たない母さんはともかくとして、美容師の有二パパならセンスもあるし喜んでくれそうだ。
弥恵さんだって版画を仕事としていたのなら、絵やデザインにも精通しているはずだし、父さんと暮らしていたのなら、インテリアにも興味を持っているはず。
それに、こんなに素敵なテーブルクロスだから、私と同じように気に入ってくれるはず。
気に入ってくれるといいな。
うんうん、と頷きながらそんなことを考えていると、目の前に座る濠が小声で話し始めた。
視線を向けると、スマホを片手に誰かと話している。