溺愛結婚!?〜ふたつ目の婚約指輪〜
「とりあえず三セット用意できる? ああ、あとで取りにいくから。
突然で悪いけど、よろしく。え? 透子の同期の男性? 喬くんのことか、彼がどうかしたのか?」
思いがけない名前を耳にして驚いた。
誰と話しているのかわからないけれど、たしかに今、濠の口から喬の名前が出た。
先週、人生最大の緊張を味わいながら終えた『設計デザインコンクール』の授賞式で会って以来だけど、喬がどうかしたのだろうか。
そのやり取りが気になってじっと見ていると、濠は私以上に戸惑っている様子で首を傾げた。
「うーん、披露宴には招待してるけど、何か問題でもあるのか」
不安げな声を聞いて、私も視線を逸らせない。
濠と話しているのは誰なんだろう。それに、三組って一体なんのこと?
お店に着いてすぐの、最初のお料理を待っている最中。
そろそろ飲み物や一品目が運ばれてくるはずだとそわそわしつつ、濠の言葉が気になってしまう。