溺愛結婚!?〜ふたつ目の婚約指輪〜


「わかった。じゃ、あとで取りにいくから悪いけど置いておいて。雪美もお疲れ、早く帰れよ」

あ、電話の相手は雪美さんだったのか。

濠を十年想い続けてきた彼女は、きっと今でも濠のことを完全に吹っ切ったわけではないと思う。

けれど、濠は私のことを一番に愛していると伝えてくれ、私もそれがよくわかっているから大丈夫。

雪美さんの想いを受け止めながら、濠を信じ愛し続けようと思っている。
 
そうするために必要な強さも、少しずつ持てるようになってきた。
 
濠を愛する気持ちは雪美さんも同じだから、簡単に諦められないということもよくわかっている。
 
だから、雪美さんの想いを真摯に受け止めようと決めたのだ。

「だけど、そんなきれいごとを言っても、簡単なことじゃないんだけどね。私もまだまだだな」

苦笑しつつ思わずつぶやいた私の声に、濠がちらりと視線を向けた。 

雪美さんの存在を私が相変わらず気にしていると思ったのかもしれない。
 
私は慌てて首を横に振った。




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