黄昏と嘘
そう、例えばそんなこと言ったとしてもアキラは本気で怒っていない、チサトはそう思っていた。
彼が世間から冷酷とか言われてもそれは少し違う、と。
でも、以前のチサトならアキラのことがまだよくわからなくてきっと遠慮してしまってこんなこと、到底言えなかっただろう。
今は少しだけだが理解しているつもりだった。
先生は嘘つきだから。
アキラはソファにもたれ腕を組み、天井を見上げ、そのまましばらくじっとしていた。
そんな彼の姿を見ていたがやはり疲れているのだろう、チサトはそう思い、もう何も言わず、ドアを静かに閉めてリビンクを出た。
そして廊下を歩き自分の部屋に戻ろうとしたけれど、ふとさっきのアキラの言葉を思い出す。
タバコを買いに行こう。