黄昏と嘘
たくさんの学生が思う、アキラに対して持つ感情とチサトが持つ彼への感情は違うものなのかもしれない。
だとすると彼女は自分のことをどう思っているのだろうか、ふとアキラはそんなことを思った。
考えてみたところでチサトのような学生にはアキラは出会ったことはないしどう思っているのかなんて見当もつかない。
それにしても秋の夜は静かだ。
それはしんとし過ぎて耳がおかしくなりそうなくらいに。
アキラはソファに座ったまま少し伸びをする。
そしてテーブルの上にあったあるものに気づき、確かめるために立ち上がる。
・・・タバコ?
テーブルの上にはアキラがいつも愛用しているタバコが新しいままで置いてあった。
自分で買った覚えはないのにと思いながらそれを手に取る。
自分でないとするとあとは誰だ、と考えたところでさっきのブランケット同様、これも当然、チサトということになる。
確か、カードは持っていない、と言っていたからどこか店まで買いに行ったのだろうか。
そうであったとしてもこのマンションから近くのコンビニまで結構、距離がある。
わざわざそこまで買いに行ったとも思えない。
でもアキラが眠っている間にどうにかして買いに行き、そっとこのテーブルに置いたことには間違いない。
なぜ彼女はここまでするのだろう。