黄昏と嘘
アキラは彼女の言葉を遮り、静かにそう一言だけ答えるとそのまますっとチサトの横を通り過ぎてリビングを出て行った。
チサトはそんな彼の後ろ姿を見送り、相変わらずだな、と苦笑する。
アキラは冷たい、チサトだけでなく彼に接する人間、全てに。
でも違う、本当は違う。
違うのに・・・。
だって、タバコ吸い過ぎだって窘めたときも、それにさっきだって部屋に戻るよう言っても怒らなかったもの。
そしてチサトはアキラが部屋を出てゆくとき、彼女が買ってきていたタバコを手に持っていたことをとても嬉しく思った。