黄昏と嘘
居候の身だが、必要以上に気を遣っているように感じるチサトはもう気遣いは止めよう、あの図書館に行くか止めるか迷っていた日以来、そんな思いが出てくるようになった。
平日の授業が早く終わる日も用事がなければまっすぐに帰り、家で過ごすようにした。
帰宅するとそのまま部屋にこもっているように過ごしていたが、それも辞めてリビングでのんびりテレビを見ながら過ごすことも増えた。
アキラが帰宅するであろう時間が近くなると自分の部屋に逃げるように戻っていったが。
まあ、それでもチサトにとって気持ち的に楽に思えた。
アキラはそんな彼女に気付いているのだろうか。
そんな日曜の昼下がり、チサトは本屋でTOEFLの本を買ったときにもらったチラシを眺めていた。
以前から何か授業の資料的な本が欲しいと思い、眺めていたのだが、こうしてチラシに記載されているタイトルだけ見ていてもだんだんと全部が必要なものに思えてくる。
しかし、たとえ紹介されている本を全部揃えられたとしても使いこなせるわけもない。
少数で絞り込めたらよいのだが。
そしてある文字のところで目が留まる。それは今年度版の「時事英語総合演習」の文字。
チサトはふと考えが浮かび、部屋を出てどきどきしながらアキラがいるであろう、納戸へと向かう。