黄昏と嘘
「私は気にしてないことないです!」
「僕は気にしてないと言っているだろう」
やっぱり早く帰りたいのだろうか、チサトはそう思い、心が少し折れてしまう。
それでも。
「私の気がすみませんから!」
「じゃあ、勝手にすればいいだろう。僕は先に帰っているから」
「あ、それじゃ意味ないんですよ。
先生が選んでください。
先生が決めたグラスじゃないと」
「もうグラスなんかなんでも…」
「ダメです」
お互いがああ言えばこう言う、まるで掛け合い漫才のような会話になる。
「キミはどこまで頑固なんだ…」
根負けしたようにアキラは呆れて言った。