黄昏と嘘
「えっと・・・、ここに確か片付けたはず・・・」
チサトは帰宅後、自分の部屋にあるDVDを取り出し、そしてそのまま真っ直ぐにリビングへ向かう。
そしてチサトは返却日を確かめながらデッキにDVDをセットする。
「おわっ。明日じゃん、早く観ないと・・・」
ケースに挟んでいた印字メモを見ると返済期限が明日になっていた。
カノコには感謝しないと、そう思いながらカーテンを引いて部屋を暗くする。
チサトは少しでも映画館にいる雰囲気を味わいたくて、いつもこうしてDVDを観ていた。
「ハイ、準備オッケー」
ふう、と息をつきながらソファにもたれてリモコンのボタンを押して映画をスタートさせる。
でも映画はやはり、カノコの言った通り、字幕がなく自分の聞き取りの力だけで内容を理解しなければならなかった。
始まって少しの間は必死になって聞き取り、なんとか理解していたが、必死に聞える英語を頭をフル回転させて聞き取ろうとしているせいで疲れが出てきたのか、だんだんと眠たくなって来る。
睡魔のせいで集中力も落ちて言葉もだんだんわからなくなってしまう。
ああ、さっき、なんて言ってたんだっけ?
あれ?
この語彙は・・・どこかの授業で・・・?
暗くした部屋、そして映画の中で流れるピアノの演奏。
それらがまた余計に眠気を誘う。
哀しい内容・・・だってことはわかるんだけど。
・・・・・・。