黄昏と嘘

どれくらいの時間がたったのだろうか、気がついたら話はだいぶすすんでいたようだった。
チサトはいつの間にかソファの上で丸くなって眠っていた。

しまった、と思ったけれどで映画がまだ終わってはいなかったから、まだそんなに長時間ではないはずだと首を左右にぶんぶんと振って眠気を飛ばす。

でも起き上がることまではできずそのままソファで横になったままの姿勢で、しばらくぼんやりする。

言葉も理解しづらい状態のうえに、ストーリーもどれくらい進んでしまったのか、わからない。

あー・・・ストップさせてまた戻したほうがいいかな。
でもどこまで戻せば・・・。

リモコンを手に取りテレビに向けながら指を「停止」「早戻し」「一時停止」と躊躇しながらあちこち移動させる。

それから少しして玄関のほうで物音が聞え、ひとの気配がした。

どうやらアキラが帰ってきたらしい。

チサトは慌ててDVDを止めようとリモコンを持ち直すが、それと同時に手から滑り床に落としてしまった。


早く、拾わなきゃ。
こんな映画、観てるなんて・・・。


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