黄昏と嘘
「先生・・・」
「・・・どうして・・・」
「私、先生のこと・・・」
チサトはこのままアキラが自分の部屋に入ってしまったらもう二度と姿を見せてくれないのではないかと不安に襲われる。
「どうしてキミは・・・、いや、キミは僕のような人間に関わるべきじゃない、関わるべきじゃないんだ」
アキラは「どうしてそこまで」、そう聞きたかったがゆっくりと首を左右に振り、言葉を変えた。
聞いたところでやはり拒まれることが怖かった。
それならわからないまま、逃げてしまいたい、自分から去っていったほうが、そうさっきもそう思ったはずなのに。
心のどこかで期待しているのか。
だとしたら、それは明らかに自分の自惚れであり、間違いだ。
「どうして・・・?
どうしてそんな言い方するんですか・・・?」
「間違って・・・いる。
これまで全部、すべて、間違っているんだ。
君をここに受け入れたところから間違っているんだ」
自分に言い聞かせるようにアキラが答える。
その言葉にチサトの肩が小さく震える。
チサトはアキラと一緒に日々を過ごしたことは間違いではない、否定する気も全くなかった。
どうしてそんな言い方をするんですか?
私、先生と過ごした日々は全部、先生を信じきって、だから笑って・・・。
そして先生だって笑ってくれたのに・・・。
チサトは言いたいことがたくさんあった。
しかし彼に「間違い」と言われてしまい、言い返すことができない。
アキラは手にかけていたドアノブを持つ手に力を入れ、ドアを開ける。