黄昏と嘘
・・・今の状態、今の想い、それは背徳行為かもしれない。
いや、もう一緒に暮らし始めた時点ですでにそうだったのかもしれない。
そう思うのならどうしてあの夏の日、彼女を受け入れてしまったのか。
あのときはアキラの彼女への態度に彼女は傷つき、すぐに出てゆくと思った。
でもなぜかそうではなかった。
どうして出て行かなかったのかわからないまま時間がすぎていった。
そしていつの間にか彼女は彼にとって・・・。
わからない?
違う、どこかでなにか、わかっていて、それを認めようとは・・・。
そんな、いろんな思いが彼の中で生まれては消えてゆく。
動けない、彼女から目が離せない。
でもこのままでは・・・。
「・・・やっぱり一緒に住むなんてキミのためにも止めておけばよかったんだ・・・。
ダメなんだ」
かすれたような頼りない小さな声でアキラは彼女に言葉を伝える。
何をどう言えばいいのかわからないが、とにかくこのままではいけないから、とそう伝えたかった。
もっとこうなってしまう前に早く、伝えていれば・・・。
でもいつの間にかアキラは彼女と一緒に同じ時間を過ごすことが大切な時間になりはじめていたから、でもそれを認めたくなくていつまでもこんな状態できてしまった。
そしてそれは結局、彼女を傷つけてしまう。