黄昏と嘘
ふとチサトが目を覚ますと、部屋は薄暗く、なんとなくでしか周りの気配を感じ取ることしかできない。
そんな中でアキラの香りが漂う。
それは彼の部屋にいるのだから当然のことだったが一瞬、チサトはそれを不思議に思った。
・・・ぼんやりと思い出す。
ああ、私、先生と・・・。
・・・今、何時なんだろう。
彼女は髪をかきあげながら闇の中、そっと反対の手を伸ばして彼を探してみるも、隣にはひとの気配すらなかった。
朦朧としているせいか、そのことを理解することすら時間がかかる。
それでもチサトは上半身を起こし、ベッドから降りようとするが腰の鈍痛で起き上がれない。
痛みはこれまでの出来事を事実だと彼女に知らしているようだった。
先生、私のこと、どう思っただろう。
こんなことになって、もしかしたらまた・・・。
いろんな思いが頭の中を駆け巡る。
アキラのことがとても気になったチサトだが結局は腰の鈍痛と身体全体のけだるい疲れから思うように動けず、そのまま倒れるように再びベッドに横になる。