黄昏と嘘




―――翌朝。


チサトは窓から差し込む、明るい日差しに目が覚める。
目をこすり、側にあった置き時計を手に取り、時間を確かめた。


もう9時半・・・。


外の明るさから昨夜の出来事も、夜中に目が覚めたことも、すべて嘘のことのように思える。
でも彼女が再び目覚めたその場所はアキラの部屋であり、でも、やはり、彼は隣にいなかった。


少し身体を動かすと夜中に目が覚めたときよりも楽になっており、彼女はベッドから起き上がる。
そして辺りに散らばった服や下着を拾い、身に付ける。
頭はまだぼんやりとしたまま、汚してしまったシーツをゆっくりとはがし、たたむ。


先生、どこへ行ったんだろう。


部屋のドアノブに手をかけたとき、ふと昨夜のことを思い出す。
途端に胸が高鳴り、部屋から出て行き辛くなってしまう。

それでもいつまでもアキラの部屋にこもっているわけにもいかず、アキラの姿を確かめようとドアを開ける。





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