黄昏と嘘
チサトは自分で話してもなんだかいい加減なこと言ってるな、と思ったけれど彼はよっぽどチサトのことが気に入っていたのか彼女のそんな頼みを半分納得いかないような、したようなそんな顔をしながらも素直に受け入れた。
「ふーん、ま……いいけどさ」
そしてふと彼は思いついたように言った。
「あー、でもさ、住所貸すなら余計にどんなとこか知っといたほうがいいでしょ?
だからやっぱウチにおいでよ?」
それは変なこじつけだ、とチサトは思った。
しかし彼女もさっき適当なことを言ってるだけに彼のその言葉に突っ込んだところで逆に何か言われるのも……、そう思うとせっかくここまで話がうまくいってるのだから黙っておくのが賢明かもしれないと思った。
今、住所がほしい、どうしても。
だからちょっとだけ付き合うのも仕方ないのかもしれない。
でも……。
「……うん」
「やったね!
じゃ今から行こう」
同意したものの、戸惑うチサトに気づく様子もなく、彼は超ご機嫌で彼女の背中を押して歩き始めた。