黄昏と嘘

「キッチンはここだ。
道具はだいたい揃っているから何か作りたいものがあれば勝手に作ればいい」

「先生は……料理しないんですか?」

チサトはキッチンにあるたくさんの道具を眺めながら何気なく聞いた。

「僕は外食だ」

「でも……あんまり外食ってのもカラダによくないんですよ?」

「だからなんだって言うんだ?」

さっきからのチサトの質問が鬱陶しいと思ったのか、声が余計に面倒くさそうになる。
会話すると言う行為が嫌なのかもしれない。

でもそれは今までの大学でのアキラの態度でなんとなくわかってはいたことだ。
そしてその相手がチサトだから余計にそう思うのかもしれない。

自分で日々嫌われていってるのはわかっていた。
そんなことを思うと、胸の奥が痛むけれど、
でも心底キライならここに住まわせてくれるとかそういうのないはずだ。
そう思うことでなんとかチサトは自分を保たせようとする。


「それからこっちが……」

アキラはチサトが後をついてきているのかどうか、そんなことはどうでもいいように、さっさと廊下へ出る。
慌てて後をついて出るチサト。
これでは案内してる意味もない。

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