ありふれた恋でいいから
Ⅰ
金木犀の香りに包まれた奇跡
高1の時同じクラスだった畑野くんは人懐こい性格と落ち着いた雰囲気を兼ね備えた不思議な人で。
クラスが離れてからも移動教室の途中ですれ違ったら、時々話しかけてくれるような存在だった。
スポーツが出来て、男女問わず友達が多くて、いつ見ても爽やかに笑っている彼に恋していた女の子はきっとたくさんいただろう。
もちろん私も例にもれず彼を密かに想っていた女子の一人だったから。
………突然、彼に告白された時は心底面食らった。
高校最後の文化祭の朝。
行事の慌ただしさに紛れて私を呼び止めた彼は。
準備に忙しない生徒が行き交う渡り廊下の片隅でそれはもう、唐突に。
「須藤のことが好きなんだ」
そう、想いを伝えてくれた。
クラスが離れてからも移動教室の途中ですれ違ったら、時々話しかけてくれるような存在だった。
スポーツが出来て、男女問わず友達が多くて、いつ見ても爽やかに笑っている彼に恋していた女の子はきっとたくさんいただろう。
もちろん私も例にもれず彼を密かに想っていた女子の一人だったから。
………突然、彼に告白された時は心底面食らった。
高校最後の文化祭の朝。
行事の慌ただしさに紛れて私を呼び止めた彼は。
準備に忙しない生徒が行き交う渡り廊下の片隅でそれはもう、唐突に。
「須藤のことが好きなんだ」
そう、想いを伝えてくれた。
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