ありふれた恋でいいから
―――梓と俺の関係が曇り始めたのは、卒業の先にある、将来の予想図がある程度描かれた時だった。


都内での就職を希望していながら思うようにいかず、予定より早目に地方で工務店を営む実家を継ぐことにした彼女と、東京で何とか就職を決められた俺。


思うままに進めば、二人のこれからが並んで歩ける環境にはないという現実は……きっと、友達のままだったら気にも留めなかった風景で。
恋人という関係になったからこそ考え、浮かび上がる岐路だったのかもしれない。
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