ありふれた恋でいいから
子どもの父親は、梓の実家で何年も働く馴染みのある従業員。
経営者である梓の父親からも信頼されていて、技術者としても確かな腕前で。

新人ながら経営に携わるという、微妙な立場にいる梓が悩みを相談しているうちに、兄妹の様に接していた関係は、いつしか男女として求め合うようになったのだという。


『本当に、ごめんなさい』

梓がしたことは、恋人がいるのに他の男と関係を持つという所謂浮気。

結果だけ見れば裏切りだと責められても遜色ない行為かもしれない。

けれど、その事実に至らしめたのは、仕事が忙しいことを理由に上手く時間を見つけることも出来ずに、自分を犠牲にしても梓の傍に駆けつけられなかった俺自身の不甲斐なさのせいだ。
< 112 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop