ありふれた恋でいいから
………いつから。

そう瞬時に湧き上がる疑問がなんて愚問で残酷なんだろうと気付く。

決して適当な気持ちだった訳じゃない。
あんなに思い悩んで、大切にしたいと誓った筈なのに。
好きだと想う気持ちに嘘はなかったのに。



一番悟らせてはいけない人に、俺が教えられたものは。

持ち続けているのは後ろめたくて。

けれど捨てることも出来なくて。

しまい込んでいた机の中で、いつしか失くしてしまったと悔いていた縁結び――…。

いや。

須藤への、想いだった。
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