ありふれた恋でいいから
本当は偶然なんか待たずに、もっと足掻いてでも格好悪くても彼女を探して伝えなきゃいけない言葉があったのに。



『…脩二が自分の気持ちに真っ直ぐ向き合えますように』



あの日、梓が別れ際に言ってくれたことはきっと、そういう意味だった筈なのに。

会えるか分からない。

だけど今日を逃したらもう二度とチャンスはない。

昔と同じ、ここぞという場面でノープランで突き進む成長のない自分を情けなく思いながら。

それでも足は彼女の勤める病院へ進むのを止めない。

会いたいから。

伝えたいから。

自分勝手なのは十分分かってるけど、俺が進む為には無視出来ない気持ちだから…。
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