ありふれた恋でいいから
古びた絵馬掛所。
日焼けしてくすんだ木々の重なり合う中、一番上に掛けられている、一つだけ真新しい白木の絵馬。



どうしてだろう。



俺は吸い寄せられるようにそれに近付いた。



他人の願い事を覗くのは罰当たりだと分かっている。
けれどどうしても抑えられない、根拠のない衝動に、それを裏返すと。




「――――・・・」






あるはずの無い願い事がそこにはあった。
< 153 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop