ありふれた恋でいいから
一足ごとに玉砂利の弾け飛ぶ音が耳に響く。

気持ちばかりが焦って思うように進まない足にもどかしさを覚えながら。

ただ、夢中で。

気付けば須藤の家までの道程を走っていた。


こんなに必死で走ったところで、俺と彼女が離れていた10年を越えられるなんて思わない。

どんなに頑張っても、どんなに悔やんでも、過ぎ去った10年は取り戻せない。



でも、今。



もう一度想いを伝えられるとしたら、きっと今しかないんだ。







『畑野くんに会いたい』










絵馬に記された、須藤のその願いを、叶える為にーーーー…。


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