ありふれた恋でいいから

繋がる想いと描く未来の風景

「須藤さんっていいよなぁ」

「マジ?お前もかよ?何だよ、俺告っちゃおうかなあ~」

「後夜祭のキャンプファイヤーの時とか良くない?」


……それは、高校最後の文化祭を明日に控えた作業中のこと。

お化け屋敷用の暗幕が足りないからと、借りに来た文系クラスの女子数人が教室を去った後、クラスの奴らから聞こえてきたヒソヒソとした話し声に、俺は動かしていた手を止めた。

1年の時同じクラスだった、須藤実乃。

クラスが離れてから、理系の男子クラスになんて滅多に来る事のない文系の彼女を思いもかけず目の端に確認できて、こっそりと胸を躍らせたのが自分だけではないことを思い知った。
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