ありふれた恋でいいから
「脩二!てめえ抜け駆けし過ぎだろ!」

「悪ぃな、先手必勝だよ」

須藤と付き合うことになったその日。
自由時間に二人であちこち見学した俺たちはあっという間に噂の的になった。

後夜祭を待たずしてことごとく玉砕したクラスの奴にはかなり恨まれたけれど。
本音を言えば手も繋ぎたかったけど。

「私もずっと好きだったの」

屋上で昼飯を食べていた時に須藤にそう言われた俺は、それだけで空も飛べそうなくらい浮かれていた。

ずっと、というのが何時からなのかとかまでは聞けなかったけど。

それならもっと早くに告白してればよかった、なんて急にポジティブに思ってしまう辺り、俺も相当おめでたいヤツなのかもしれない。
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