ありふれた恋でいいから
「うわ、やべ。やっぱ脩二にもばれてた?あれ、後でミキにすっごい怒られてさ~」

肩を竦めながら、それでものろけた様に当時の状況を語るコウは、暗闇の中、俺が驚愕の表情を浮かべているのに気付きはしないだろう。






でも、それで良いと思う。

コウに罪はない。
これこそコウの知るべきことではないのかもしれない。

一切記憶にないあの夜の出来事。
状況証拠だけで認めざるを得なかった受け入れ難い事実。

でも、もしそれが偽りの証拠で、記憶にないことこそが真実なら、俺は。

俺たちは…――。
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