ありふれた恋でいいから
そして俺は、梓が隣にいる事を、少しずつ居心地良いと思い始めていて。

この安らぎに、そっと手を伸ばそうとしている。

「今日…ウチに泊まってく?」

「うそ…、いいの?」

「うん。ごめんな。待たせ過ぎて」

「脩二……」

俺の言葉の意味に気付いて、嬉しそうに抱きついてきた梓の温もりを大切にしたいと思うんだ。



その日の夜。
俺と付き合うことを、学科の皆に報告していいかと確認する梓の笑顔は今までで一番輝いていて。

彼女ではないけど、一番親しい女友達。

そんな曖昧な立場で、それでも俺の事を想っていてくれたのかと思うと、彼女を抱き締めずにはいられなかった。
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