☆子犬系男子にご用心☆



「お昼、迎えに来たんだけど」

「・・・用意するから待って」

「わかった」



今日は、なにも言わず臣はそう言って笑った。
だから私もあえて触れずにお弁当を取りに教室に戻る。




「志保、お弁当いこ」

「うん!」




すっかり定番となった三人でのお弁当。
臣と志保はすっかり打ち解け楽しそうに会話をしている。
私だけが取り残されていく。

素直になれないのは、今に始まったことじゃない。



いつも一人だったから、一人になれてしまった。
誰かに甘えるなんてこと、できるわけがなかった。




それはきっと、春兄に恋をしてしまったことも関係あるんだろう。
恋をするまでは、春兄には甘えることができていた。
でも、一度恋する想いを抱いてしまったら・・・。
それもできなくなってしまったんだ。





「・・・ごめん、私用思い出したから先戻るね」





お弁当を片付け二人にそう告げると急ぎ足で屋上を後にした。





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