☆子犬系男子にご用心☆
すれ違い
ゆっくりと目をあけると、二つの顔が私を覗き込んでいた。
あれ?私、どうしたんだっけ。
「よかった、結芽」
「結芽ちゃん」
心配そうな顔で覗き込むのは、春兄と臣だった。
そこで頭を巡らせようやく自分が階段から落ちたのだと気付いた。
「市川さん、痛いところは?どんな些細なことでもいいから」
「あ・・・」
保健室の松本先生が心配そうに尋ねる。
「体中が、打ち身みたいに痛いくらいです」
「頭は?」
「頭は全く・・・」
「そう。念のため病院に行きましょう。高城先生が車を出してくれるから」
「先生が・・・?」
私が視線を移すと、春兄はコクリと頷いた。