☆子犬系男子にご用心☆
私は、臣の背中に遠慮がちに乗る。
私と大して変わらない身長の臣。
私を背負うのは、とてもしんどいんじゃないかと今更気づく。
やっぱり、変なこと考えずに春兄に頼めばよかった。
―あなたに気がないなら、中途半端にお昼の約束したり臣と話したりしないでもらえませんか?
―いつまでたっても臣があなたの事忘れられないじゃないですか!!!
階段で、水沢さんに言われた言葉が蘇る。
こうしていることも、臣にとって私はひどいことをしているんじゃないかな。
私の中途半端な優しさが、臣を縛り付けてるのかな。
そもそも、私の気持ちはどこにあるのかな。
前みたいに、あからさまに対抗心を持つこともなくなった。
むしろ、一緒にいることが苦じゃなくなってきているのはわかる。
もしかしたら私も・・・。
そんな風に過ぎることだって。
でも、春兄に会えば、姿を見れば、一瞬で引き戻されるんだ。
「結芽ちゃん?」
「・・・え?」
不意に臣が声を出す。
考え事をしていた私は慌てて上ずった声を上げた。