☆子犬系男子にご用心☆
「・・・ごめんね」
「え?どうしたの?」
突然力なく謝られて私は戸惑う。
いつも臣はへらへら笑ってて明るくて、そりゃあ最近は少し違ったけど。
それは私がはっきりしなかったからで。
「俺の、せいだよね。結芽ちゃんが怪我したの」
「え?・・・あ、もしかして、見てたの?」
あそこは屋上から降りる階段。
私も、屋上から降りる途中で引き止められたんだ。
臣が屋上から降りてきていたなら見ていても不思議じゃない。
そっか。だからこんなに傷ついた声してるんだ。
さっき唇を噛みしめたのもそのせい?
「違うよ、これは私が勝手に足を踏み外したの」
「でも」
「本当。だから、気にしなくていいよ」
そんなことを言っても、気にしないはずないけど。
でも、あれは本当に事故だった。
水原さんの勢いに押されて私が逃げたんだ。
あれ以上言われたくなくて。
どれも、胸に刺さる言葉だったから。