☆子犬系男子にご用心☆



「・・・ごめんね」

「え?どうしたの?」



突然力なく謝られて私は戸惑う。
いつも臣はへらへら笑ってて明るくて、そりゃあ最近は少し違ったけど。
それは私がはっきりしなかったからで。




「俺の、せいだよね。結芽ちゃんが怪我したの」

「え?・・・あ、もしかして、見てたの?」




あそこは屋上から降りる階段。
私も、屋上から降りる途中で引き止められたんだ。


臣が屋上から降りてきていたなら見ていても不思議じゃない。
そっか。だからこんなに傷ついた声してるんだ。

さっき唇を噛みしめたのもそのせい?




「違うよ、これは私が勝手に足を踏み外したの」

「でも」

「本当。だから、気にしなくていいよ」



そんなことを言っても、気にしないはずないけど。
でも、あれは本当に事故だった。
水原さんの勢いに押されて私が逃げたんだ。


あれ以上言われたくなくて。
どれも、胸に刺さる言葉だったから。





< 124 / 259 >

この作品をシェア

pagetop