☆子犬系男子にご用心☆
ズキン。
「なんて。冗談だよ。じゃあ、鞄お願いします。私、保健室に行ってくる」
明るくそう言ってシートベルトを外すと松葉杖を持って春兄を押しやって車から降りた。
そして、逃げるように校舎に向かう。
慣れない松葉杖にぎこちなく進む。
唇を噛みしめ、涙を堪えながら。
春兄、困ってた。
昔ならきっと、おいでって言ってくれてた。
もう、言ってくれない。
春兄のところに、私の居場所はなくなってしまったの?
ズッ
慣れない松葉杖で逃げるように進んでいたせいで裏口の段差で躓き前のめりに倒れこむ。
近づく地面に咄嗟に目を閉じた瞬間、誰かの腕が私の腕を掴んだ。