☆子犬系男子にご用心☆
松葉杖も家に放り投げたまま、私は足を引きずりながら歩く。
こみ上げる涙はポロポロと流れていく。
助けて・・・・・。
春兄・・・・。
私は春兄の家の前まで来ていた。
春兄は、今は私の近所にある実家を出ていてそれでも歩いて行ける距離に一人暮らしをしている。
そのアパートの前まで来て立ちすくむ。
私を受け入れてくれるかな・・・。
私はそっとチャイムに手を伸ばす。
「春くん、せっかく早く帰ってきたんだから一緒にご飯作ろうよ」
「ああ、そうだな。着替えてくるから待ってて」
「ふふっ、待ってるね」
家の中の声が聞こえてくる。
春兄の声と、それから・・・きっとみゆさんの声。
一緒に・・・住んでるんだ。
そうだよね。
だって二人は結婚するんだから。