☆子犬系男子にご用心☆



「テスト、できそうか?」



休み時間、偶然廊下で会った春兄に声をかけられた。
それだけで嬉しくて頬が綻ぶ。



「やるだけのことはやるよ」

「お、やる気だな。期待してるぞ」



ガッツポーズを見せると、春兄は笑って頷いた。
春兄に褒めてもらえるなら、勉強だって頑張る。




「最近、どうだ?」

「どうって?」

「親父さんたち」

「さあ。全然会ってないから」



私が平然とそう答えると、春兄は表情を暗くさせる。
春兄がそんな顔する必要ないのに。
私は、努めて明るく笑い春兄に声をかけた。



「もう、そんな顔しないでよ!私は平気なんだから。今に始まったことじゃないしね」

「そうか・・・」




小さいころからずっと仕事仕事と、私の事なんて見てくれない両親だった。
お金だけおいていればいい、そんな考えの持ち主で。

家族そろってご飯を食べるとか、学校で会った事を話すだとかそんな団らんみたいなことなんて一度もしたことがない。





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