☆子犬系男子にご用心☆
「・・・いいや。あいつの前では大丈夫なフリでも何でもして。でも、僕の前でしたら許さないから」
「え?許さないって・・・」
「僕は、怒ってるんだからね」
臣が私を抱き締める力が強まる。
どうしてだろう、振り払う気になれないのは。
今までこんなことされたら、否応なしに怒鳴って振りほどいていたはずなのに。
最近、どうしてかできなくなっている気がする。
「怒ってるって、なにを・・・」
「僕とはもういられないとか、ふざけたことを!言ったことだよ!」
「ふざけたって・・・私はいたって本気で」
「本気な所が気に入らない」
臣の声が怒ってる。
表情は見えないけど、確実に怒ってるのがわかる。
「あんな風に言われて、僕が傷つかないとでも思った?はいそうですかって、引き下がるとでも?」
「でも、今日臣、私の事市川先輩って・・・」
「あれは!く、悔しかったんだよ。ああやって突き放されて、少しでも結芽ちゃんに後悔させたくて・・・っ。ああもう、なんでこんな事言わせんの!」
臣は私を勢いよく引き放すと、ドカッと音を立ててソファにもたれて座り込んだ。
頭を抱えて蹲る姿を私は振り返って見下ろす。