☆子犬系男子にご用心☆
「なにがそんなに嫌なの?」
麻生くんのいない休み時間。
穏やかな時間に、志保が不思議そうに呟いた。
それはきっと麻生くんのことで。
「なにがって・・・」
「麻生くん。かわいくていい子じゃん」
「どこが!」
「えー?顔?」
他人事だと思って。
確かに、顔は無邪気な人懐っこい顔をしてる。
くりくりっとした二重の瞳は年下の男の子って感じで可愛らしいのは確かだ。
それは、客観的に見たらの話で。
こうやって付きまとわれたらそんな風に想えるはずがない。
「私はいいと思うよ、麻生くん」
「・・・私は」
「わかってるよ。高城先生がいいってことは。でも、麻生くんみたいに結芽を思ってくれる人だっているってこと忘れちゃだめだよ?」
「う、ん・・・」
わかってるよ。
志保が言いたいことくらい。
春兄みたいな手の届かない人より自分を思ってくれる身近な人の方がいいって。
でも、手が届かないって思いたくない。