☆子犬系男子にご用心☆
「あ!やばっ!僕、今日移動教室だった!」
「そうなの?急がなきゃ!」
「うん。じゃあ、行くね。結芽ちゃん、志保さん、また明日!」
志保と麻生くんのやり取りを眺めるだけの私。
手を振って去っていく麻生くんの背中を眺めるだけ。
頑張って、とか。
またね、とか。
そんな優しい言葉なんてかけられない。
今まで、怒鳴ってばかりだったから今更優しい言葉なんてかけられない。
「葛藤してんねぇ」
「・・・あいつ、どうして私に拘るんだろう」
「好きだから、でしょ?」
「私のどこがそんなに好きなんだろう」
いい所なんてない。
捻くれてて。
意地悪で。
「私が結芽の事好きだって思ってることも、信じられない?」
「え?」
志保が私をじっと見つめる。