☆子犬系男子にご用心☆



「市川!お前先頭だろ。急げー」

「あ、はい!」



市川・・・。
結芽って呼んでほしい。

ここは学校だから、ダメだってわかってるけど。


高城先生、春兄とは家が近所で小さいころ仕事で忙しい両親に変わってよく面倒を見てくれた。

でも、私も大きくなって次第に疎遠になってしまった。
だから春兄が先生になって、この学校に赴任したって聞いて頑張って勉強してこの学校に来たんだ。
1年も2年も担任になってもらえなかったから最後の3年ではって神頼みもした。


その甲斐あってか、3年で念願の担任。

私は、嬉しくて仕方ないの。




「よし。じゃあ、行くぞ」



心地いい春兄の声。
少し低めの、落ち着いた声。


その声で“結芽”って呼んでほしい。




私には春兄しかいないんだ。




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