レトロな時代のピュア物語
――
電話に……女が「オレか
……はははっ――」
「そういえば昔……」
さかのぼる事15年前、この国の鎖国政策が終わりを迎えて間もない頃、この国に外国から《科学》という概念、《機械》という代物が急激に入ってきた頃の話。
――
ザーザーピィーガーッガーッ
――
「きっ
……
こえ
……
ま
……
すか
……
もし
……
し
……
」
「……」
「だめだ……
やっぱりだめですよ、お嬢さん」メガネを掛けた痩せ身の男が大きな屋敷とも呼べる家のベランダから身を乗り出し、屋根の上にいるかぼちゃ形の帽子を被った女性に話しかける。
「待ってろ! オレの指図がないうちは受話器から耳を離すな!」
「は、はいぃ」痩せ身の男は少し怯えながら返事をした。
その女性は屋根のてっぺんに付けられている電話のアンテナをグリグリと動かす。次第にアンテナの下に敷き詰められた屋根の瓦がガシャンガシャンと鳴り響く。
「くっそ〜やっぱりだめか……まただめなのか」
「七三子、また何やってるんだ! 降りて来い」中年のスーツを着た男がその女性をにらみつけ、大声でその女性に屋根から降りるように促す。
「ちぇ……分かりましたよ、降りますよ」