男嫌いの姫様の冒険記
昼下がりの礼式から解放され、女性は宮廷内の自室で、一人少女の身心を堪能しているようでした。
しかし、そのあどけなさが残る態度とは裏腹に、どこか教養を感じさせる気品のある目を持っていました。少し赤みがかった透き通った目。女性はこの国の王女でした。
……風に身を任せていたその王女が少し窓から離れた時。
そこに何か鳥のわさわさと羽ばたくような仰々しい音。
王女は耳を澄ませると、それとは対照的に静かな男性の声がかすかに混じって聞こえます。
王女は驚きその場にかがみました。
ベランダには何かが降り立った音がします。
「王女……様? ……これは……失礼しました……」
王女は怯えながら目を開けるとそこには、大きな白い鳥にまたがった見たことのある顔。そう、城の兵器開発部門、幹部に位置するサダックというあの男でした。
しかしその外見はいつもの肌の青白さはなく健康的な褐色に色付いていました。
王女はいつものサダックと違う健康的な肌になんとなく凝視してしまいます。
その目線に気づいたサダックは、「……あ、私だとわかりますか?王女様。ちょっと野外で鳥の世話をしていたら、いつのまにかこんな肌にね」
王女は視線を悟られて何か気恥ずかしくなりました。
鳥がばたつきます。サダックの体が揺れます。
「おっとっと、……物々しくてすいません」
サダックはさっそうと鳥から飛び降りました。