龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
そして、生徒会室へ入る(入らされる)と、大きめの机と椅子が奥の方にちょんと置いてあった。
思ったより簡素で、荷物も張り紙も何もない。
空き教室を再利用しただけのようだ。
「あれ?机これだけ?他の生徒会の人は?まだ来てないの?」
「いや、生徒会は、生徒会長である私だけなんだ」
「えええ?!じゃあ、会計は?書記は?いないの?大丈夫なの?」
「基本一人だよ。今年度からなったばっかでまだちゃんとした活動はしてないけど、先生が手伝ってくださる予定」
「なんで?!」
「んー、多分私が怖いんじゃないかな?警視総監の孫だし、父さんは警部だし、三人の兄さんは喧嘩負け知らずだし、私もそうだし」
この学校の生徒会というと、かなり仕事が大変なはず。
書類整理やら生徒指導やら、雑用係のようなこともすると聞いた。
だから誰もやりたがらないのは知っていたが、一人だけでやっているとは……
ほんの少しだけ、ナゴミの中で四葉への信頼度が上がった。
「お前は私が怖くないの?」
「え?」
色々と強引で人の話を聞かないところはあるが、怖いと思ったことは一度も無い。
むしろ、さっきの話を聞いて、いい印象を持ったくらいだ。