龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
「だって、家族がなんだろうと、龍華寺さんは龍華寺さんでしょ?そりゃ、ご家族はちょっと怖そうな印象あるけど、あんまり関係ないんじゃないかな?」
ナゴミは正直な感想を述べた。
嘘は一つも言ってない。素直な意見だ。
「……ふは!面白いね、お前!」
四葉のキリッとした顔が、一気に緩む。
怖くて厳しくて真面目そうなイメージがあったが、それは外見だけで中身はそうでもないらしい。
「そう?」
「そうだよ!お前みたいな奴、初めて!」
ナゴミも、そんなことを言われたのは初めてだった。
「ねぇ、名前は何て言うんだ?」
今気が付いた。そう言えばナゴミの方はまだ名乗っていない。
「私?私はナゴミ。……駒木 ナゴミ、だよ」
「え?『コマキ ナゴミ』?そんな名前、生徒名簿にあったかな……」
笑顔ほとんど崩さないで、生徒名簿をパラパラと捲る四葉。
長い指が、物凄いスピードで名前をなぞる。
「那古実、名護実、名子実、和実……どれも無いな。それ、本名?」
「本名だよ!ていうか、ここにあるでしょ!私の名前!」
「……え?!これ?!」