龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。
「ふむ、『リヴェールマンション』か……」
「マンション名がどうかしたの?」
「ここを調べれば、後から深月さんのフルネームが分かるかもしれないからね。一応看板に書いてある住所とか撮っとく」
「……」
まるで探偵だ。小学生のやる事じゃない。
ぞわりと鳥肌が立つ。
「あ、ほら、篠崎先輩が歩き出したよ」
篠崎は寄り道するような感覚で女の子と会っていたが、そろそろ終わってほしい。
日も傾いてきたし、何より今日は色々ありすぎて疲れた。
やがて篠崎は、まだ夕方なのにネオンが光る細い路地に入って行った。
「あれ?こっちって、スナックとかバーとか居酒屋とかがある通りのはずだけど……」
「……」
四葉は何も言わないが、高校生男子の行く所ではない、はずだ。
「あっれぇ〜、怜ちゃんじゃん!」
「めぐ姉、ちょっと遊びに来たよ」
金髪をクルクルに巻いたド派手な格好の女性が、一軒の店から出てきた。
キャバ嬢の様だ。パッと見二十代前半位。何度も警察のお世話になってそうな風貌だが、大丈夫だろうか?